『夜と霧』に見る苦痛の解法
『夜と霧』は1946年に出版されたヴィクトール・フランクルのナチス強制収容所経験に基づいた著作。
苦痛を感じない人間はいない以上、『夜と霧』は全ての人にオススメできる本。
特に(計算上)1時間に4人自殺する日本においては重要だと思うんだ。
著書の経験を精神医学の見地から分析しているので、抽象的な哲学の書物に比べるとかなり読みやすい。
以下、重要そうなところを要約してみた。(要約というか自分が今後活用できそうな言葉、独自の解釈も含まれていると思う)
琴線に触れそうなところがある方は一度読んだ方が良いと思う。
・苦痛が大きくなれば人は感情を切り捨てる。
・感情の消滅時には「苛立ち」が目立つ。収容所では外的要因(空腹と睡眠不足)がさらに拍車をかけた。
・苦痛とは大小の程度問題ではない。他人からは小さな者も本人にとっては立派な苦痛である。
・スピノザ「苦痛は客観視すると苦痛ではなくなる。」
・収容所内で破綻した(死んだ)者は未来に希望を持てなくなった者、自己を放棄した者。
・ニーチェ「なぜ生きるかを知っている者は 、どのように生きることにも耐える 」
・「生きる意味」を問うものは未来を失い死んでいき、とりあえず生きてから問いに答えようとしたものは生き延びた。
でも、この本が必要な人は「本」より「休息」だと思う。
ズルい手を使ってでも「休みな」って言ってあげたい。
「自己を放棄した者」になってからでは遅いんだから。